「毎朝、息子を保育園に送るときに、白い風船が飛んでいます。ひもに手紙のようなものも付いているみたい。誰がなぜ?」。福岡市中央区に住む女性(30)から、特命取材班に疑問が寄せられた。ピンときた方がいるかもしれない。そう、これは…。
女性はほぼ毎日、午前8時半前に3歳の長男と自宅を出る。1年ほど前のこと、中央区六本松の国体道路の交差点を渡るために信号待ちをしていると、長男が「あっ、ふうせん」と指さした。北の空に白い風船が一つ、ふわりと上がっていた。
そのときは「たまたま」と思っていたという女性だが、翌日も、その翌日も飛んでいるので「あ、これ定期的だ」と思った。でも周りの人は気づいていない様子。はたまた気にもとめていないのか、不思議だった。
ピピピッ、ピピピッ、時計のアラームが午前8時半を知らせた。ここは六本松の交差点から約530メートル離れた同区大濠の福岡管区気象台4階の屋外部分。職員がひもから手をはなすと、あれよあれよという間に気球は青空に吸い込まれていった。
ひもには、手紙ではなく機器が下げられている。高層の気象を観測する「ラジオゾンデ」。上昇しながら、気温と湿度、気圧、風向、風速を観測する。
天然ゴム製の風船は頑丈な手触り。可燃性の水素ガスを使うため、4階には「火気厳禁」の掲示が何カ所もある。膨らむと直径は2メートルほどになり、ひもを引くと強い浮力を感じた。
風船は、なんと高度3万メートルの成層圏にまで達するという。そこでは気圧が低いため風船が押し広げられ、地上の5倍ほどの直径約10メートルにまで膨らむとか。ちなみに気象庁によると、機器を含めた1個のお値段は約3万円とのこと。
GPSを搭載しており、気象や位置の情報はリアルタイムで送られてくる。同気象台観測課の主任技術専門官、稲吉浩さんが「偏西風が強い冬場は、徳島県ぐらいまで運ばれることもあります」と教えてくれた。逆に、風の弱い夏場は福岡市内に落ちることもあるという。
福岡管区気象台は1957年にラジオゾンデによる観測を始め、68年から現在の場所で風船を上げている。年中無休で午前8時半と午後8時半の2回、機器の故障やよほどの悪天候以外は台風の日でも上げる。
もはや完全な日常の光景だが、冒頭の女性のように「知らなかった」という人も少なくない。それもそのはず、福岡市中央区は転出入が同市内の中でも多い。2015年の国勢調査によると、中央区の住民の3割程度は居住期間が5年未満(一部は区内間の転居)だった。女性が暮らす六本松地区は新たな住宅の開発も相次ぐ。風船を「謎」に感じる人が絶えない環境と言えそうだ。
気象庁はラジオゾンデによる観測を福岡など全国16地点で実施。世界では約800地点で同様に風船を上げているという。そして世界標準時の午前0時(日本時間午前9時)と正午(同午後9時)のデータを集める。
「空は世界でつながっていますからね」と稲吉さん。重要なデータを地上に届けながら、親子の会話も弾ませる-。白い風船は、今日も舞い上がる。 (福間慎一)
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February 14, 2020 at 04:00AM
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【動画あり】福岡の空に「謎」の風船 朝晩2回、気象データ観測 - 西日本新聞
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