五輪・パラリンピックは、競技やアスリートだけではなく、東京の文化や芸術の発信にも世界中から注目が集まる。東京都などが主催し、文化面から大会を盛り上げる事業の一つが、7階建てビルほどの大きさの巨大な顔が浮かび上がる「まさゆめ」プロジェクトだ。五輪中、公募者の中から一人の顔が選ばれ、東京の空に出没する。いつ、どこで、誰の顔かは一切公表されない。この奇想天外なプロジェクトの仕掛け人であるアーティストチーム「目」に話を聞いた。(奥津 友希乃)
東京の空に、巨大な顔が浮かび上がる。一体誰の顔を、どうやって空に浮かび上がらせるというのか。
謎多き前代未聞のアートプロジェクト名は「まさゆめ」。約半世紀ぶりに東京で行われる祭典を、都が芸術や音楽など文化面からも盛り上げるための事業「Tokyo Tokyo FESTIVAL」に選ばれた。
大会期間中、360度どこから見ても顔と認識できるバルーンのような立体物が、都内数か所で数回、空に浮かび上がる。大きさは、7階建てビルほど。作品の要となる「顔」は国籍、年齢、性別を問わず世界中から公募し、1400以上集まった。「どこで」「何時に」などの詳細や、「顔」の正体につながる氏名や出身地などは非公表にする予定だ。
都の担当者は、2436件のプロジェクトの中から採用した理由について「あらゆる人が作品を見ることができ、革新性と独創性を持ち合わせている」と話す。「まさゆめ」を手がける「目」アーティスト・荒神明香(こうじん・はるか)さん(36)は「突拍子もないような夢でもやれば実現できるという勇気を、作品を見た人たちに伝えられれば」と意気込む。
見た人に夢を与えるプロジェクトは、当時14歳だった荒神さんが見た「夢」から始まった。「塾からの帰り道、電車の車窓から街を眺めると空に“ぽっ”と、お月様みたいに光る人間の顔が浮かんでいた。家族や知人の顔ではない、誰かの顔だったんです。当時、なぜかその夢をとても大事だと感じ、大人になっても忘れられませんでした」
作品のテーマは「公と個」。「目」の南川憲二さん(40)は「1964年の東京五輪は発展がテーマで、国や『公』が物語の象徴だった。今夏の東京五輪は『公』と『個』の集合の取り組み。空に浮かぶ顔を見て『誰?』と考え、自分という存在を問うことが大きな狙いでもある」と話す。
公募などで集まった生後6か月~90代の顔写真をもとに昨年6月、都内で約3400人が参加した「顔会議」が行われた。それらの意見を踏まえ、最終的に一人の顔を選ぶ荒神さんは「有名人ではない、実在するたった一人の顔を選ぶことが大前提。もし、誰もが知るメダリスト、例えば陸上のボルト選手の顔を浮かべたら、『ボルトさんね』で終わってしまう。公募したことで、空に浮かぶ顔が『もしかしたら自分だったかもしれない』と思うことに意味がある。そんな究極の『個』を選びたいと思っています」。
かつて14歳の少女が夢で見た光景が時を経て、2020年に「まさゆめ」となる。大会期間中、どこに、どんな顔が浮かび、突如東京の空に現れた「誰かの顔」を見た人たちは何を思うのだろうか―。
◆アーティストチーム「目」
2012年に、東京芸大出身の荒神氏、南川氏らが中心となり結成した現代アートチーム。代表作に「たよりない現実、この世界の在りか」(資生堂ギャラリー、14年)などがある。14年に宇都宮美術館の企画で、「おじさん」の顔を描いた15メートルの立体物を空に浮かべた。その奇妙な光景に、慌てて家からカメラを取り出し撮影する人や、泣きじゃくる子供など反応はさまざまで、海外メディアも取り上げるなど大きな反響があった。第28回(17年度)タカシマヤ文化基金受賞。19年の個展「非常にはっきりとわからない」では、千葉市美術館の「現代アート」での最高入場者数を塗り替えた。
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February 17, 2020 at 04:00AM
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