自宅を愛してやまない男たちの自宅はどんな“場”なのか? 人によって必要な空間は違ってくる。そこで小説家、滝口悠生さんが作ったのは、大量の本が収納できる仕事部屋だった。
滝口悠生さんYUSHO TAKIGUCHI
37歳/小説家
東京都杉並区 約80m2 夫婦
1982年東京都生まれ。小説「死んでいない者」で第154回芥川賞を受賞。現在「新潮」にて長編小説「全然」を連載。映画『男はつらいよ』の大ファンで、新春の映画公開も楽しみ。
本は手放せない。まとめて 収納できる仕事部屋をつくりました
仕事部屋の二面に、壁面本棚を取りつけた。「単行本と文庫本が多いので、それに見合ったサイズの棚板を選びました。土日はブックデザイナーの妻がここで作業することも」。
小説家の滝口さんが、築60年を超える一軒家に引っ越したのは昨年5月。
「本が増えすぎ、キャパオーバーになってしまったのが引っ越した理由の一つ。出版社から送られてくる献本も多いし、街の書店はもちろん、古本屋では偶然的な出会いも多いから、つい買ってしまう。“また読むかもしれない”“仕事でいつか必要かもしれない”本はどうしても手放せなくて」
リビングの奥の10畳の仕事場には、建築設計事務所がデザインを手がける家具ブランド、マルゲリータに依頼し、天井まで続く壁面本棚を取りつけた。
「本棚の中は、プライベートで読みたい本と仕事用の資料本を分けておらず、外国、音楽、映画、年代別…ジャンルごとにざっくり分けるくらい」
朝食後は、オプションで取りつけた本棚の延長型のデスクに向かい、執筆に勤しむのが日々のルーティン。
「前の仕事場には冷暖房がなかったのもありますが(笑)、引っ越してから今まで以上に仕事がしやすくなりました」
リビングの床は、自ら板を張ってフローリングに。「ここではソファに座って読みたい本を読んだり、お酒を飲みながらその日書いた原稿の読み返しをすることが多いですね」。
ダイニングキッチン。料理も大好きだという滝口さん、「大家さんが、柱や壁など元の家の魅力を残してリノベーションしたので、その雰囲気を生かして家具を選びました」。
リビングのディスプレイコーナーには、自ら絵付けし、妻を描いたマトリョーシカも。
仕事場のパソコン前がいちばんのホットコーナー。執筆中の作品にまつわる資料が並ぶ。
Photos:Ayumi Yamamoto
Composition&Text:Yukino Hirosawa
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