7年10か月ぶりにミニアルバム「せめて空を」をリリースした釘宮理恵がインタビュー企画「Megami’sVoice」に登場!【インタビュー】
アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらうインタビュー企画「Megami’sVoice」。2020年5月号には、7年10か月ぶりにミニアルバム「せめて空を」をリリースする釘宮理恵が登場。「超!アニメディア」では、本誌で紹介できなかった部分も含めた、ロングインタビューをお届けする。
ミニアルバムのテーマは何ものも表現しないこと
――個人名義でのCDリリースは、なんと7年10か月ぶりとのことです。
実は、制作のスタートは2012年にリリースしたミニアルバム「kokohadoko」の制作が終わったすぐあとで、「PREMIE」だけはレコーディングをしていたんです。ただ、制作チームのスタッフさんの異動もあったりして、ある程度月日が経ってから改めて楽曲制作の話し合いがあり、そしてまたイチからお話し合いがスタートし、いい作品を作るためにディスカッションを重ねていくうちに時間がたってしまい……。ただ、色々な意見が出たおかげで次第に方向性も見えてき始め、1曲1曲に対して妥協しないで音楽制作をさせていただき、全員が納得するものに仕上がったと思います。
――釘宮さん自身は、音楽活動にどういうスタンスで臨んでいますか?
アニメやゲームなどの作品に声優として出演させていただくときは、その作品やキャラクターの色に染まりたい、作品全体のひとつのパーツになりたいという思いです。でも、音楽はパーソナルな部分が大事なのかなと感じていて。私自身は、「私の表現したいものを聞いてください」という熱量はあまりないんですね。それよりも、作品を通じて私自身を応援してくださっている方に感謝の気持ちを伝えたり、「最近どうですか?」と私信をやりとりしたりするような、距離の近いツールとして音楽活動を捉えています。なので、自分の気持ちを伝える……伝えるまでいかなくても、聞きたいときにそばにあるという形になったらいいなと思って。今回も、メロディーや歌詞が濃くなり過ぎない曲を選ばせていただきました。
――今回のミニアルバムは全6曲収録です。釘宮さんから曲のテーマやジャンルはオーダーしましたか?
ワルツのイメージが自分の中に強くあったので、三拍子は取り入れてもらっています。それ以外は、「何ものも表現したくないんです」というお願いをしました。恋愛ソングや応援ソングは、状況が限られてしまうので、わかりやすいメッセージ性のある曲はあまりやりたくなかったんです。
――歌は表現方法のひとつですが、「表現したくない」と思っているというのは意外でした。
川のせせらぎみたいな環境音楽が好きなので、歌もそれに近いものがいいなと思って。適度に気持ちがよく、元気なときに聞けば素敵に、落ち込んでいるときに聞いたらもう少し頑張ろうと思えるような、圧のかからないものがいいなと。その結果が、「何ものも表現したくない」ということなんです。
――実際できあがった曲は、6曲ともやさしいメロディーですよね。
できる限りしゃべっている声で歌いたいと思っていたので、声を張らないように心がけました。熱すぎず、冷たすぎずというイメージですね。ただ、声を張る場合はコンディションがよくなくてもごまかせるんですが、しゃべるような声だとそれができなくて。バランスの調整が難しかったです。
――「PREMIE」は、録り直しをされていないんですか?
ミックスだけ変えていただきましたが、当時録ったそのままです。「PREMIE」は前作がおとぎ話のような1枚になったので、もう少し現代的な温度感のある曲を目指しました。この曲は、歌詞とメロディーがツボだったんです。「曇り空の晴れ間」や「朝と夜の隙間」のようなワードが好きで。表現したくはないけれど、その一瞬は表現したいという思いを持ってレコーディングしたことを覚えています。
――2曲目の「Jelly fish」はたゆたうような印象です。
「私、クラゲが大好きなんです」というお話しをしたのですが、そのふわっとしたところで作ってくださいました。この曲は、”ハモ”にこだわりました。一度、レコーディングをしたのですが、どうしてもしっくりこなくて全部録り直したんです。ディレクターの方は、ちょっと”ハモ”が強めだったり、ピアノが主張をしてしまっていたり、そのエモーショナルな部分が引っかかっていたんじゃないかとおっしゃってくださいました。
――どうしてもしっくりこないときは、どのように対応していくのでしょうか?
音楽知識がないので、一度レコーディングしたものを持ち帰って、まず何度も聞き返すんです。ただ、聞くタイミングによって、聞こえ方ってすごく変わるんですよね。前日いいと思っていたものが、翌日は全部引っかかる……みたいなこともあって。それで何日か寝かせてまた聞いて、ピンとこない部分を絞っていきました。ものすごく制作に時間がかかる理由もそこにあるのかもしれません。
――3曲目の「vilenmua」。タイトルは作詞を担当されたriyaさんの造語だそうですね。続きを読む
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April 15, 2020 at 05:00PM
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