前回までに「10回音読」および「(かっこ)要約」の効用について述べました。
国語力の向上について「大切なのは読書ですよ」と、私は常にお話をしています。「三度のご飯より読書が好きな子供さんであれば、半年だけ時間をください。半年で、どんな難関校でも国語の入試で合格点(65パーセント)は取れるようにします。もし取れなければ私は切腹しますよ」とまで豪語していますが、私はいまだに傷一つなく、ピンピンしています。
冗談はさておき、読書が十分できていれば、難関校の問題であれ合格点を取るのはそんなに難しいことではありません(もちろんプラスαは必要です)。反対に読書が十分にできなければ、どんな方法を取っても、テクニックを教えても、本質的な国語力はどうにもなりません。一時的に上がったように見えても、いつかどこかで必ず頭打ちがきます。
読書量を増やすため、強制して読ませるには「10回音読」や「(かっこ)要約」が間違いなく有効です。しかし、実はそれも方便で、本当の本当は、自ら進んで本を読む、読みたいから読む、というのが最も良いのです。読みたいから読んでいる、という子が、一番伸びているのです。
読書好きでない子供を読書好きの子供にするためにはどうすれば良いでしょうか。
まずは環境作りが大切です。子供に「本を読みなさい」と言いつつ、お父さん、お母さんがゲームをして歓声を上げていたり、テレビを見て大笑いしていたりしたらどうでしょうか。とても読書をしようという気持ちにはならないでしょう。本好きの子供であったとしても、読書よりゲームやテレビの方に引きずられてしまいますよね。
まずは、お家全体で「本を読む」という空気を作っていただくことが大切です。例えば「毎日10分、家族全員で読書の時間を作る」。その時間はゲームを片付けて、テレビを切って、ご家族全員で活字を読む時間にします。必ずしも本でなくても結構です。お父さんが読んでいらっしゃる新聞を子供が横からのぞきこんでいるのも、一つの理想型です。とにかくその時間は「家族全員が活字に目を通している時間にする」ことがポイントです。
次に重要なのは、「本は書棚にずらーっと並んでいる」状態にしていただくことです。例えば児童文学全集を全巻そろえていただく。さらにお父さん、お母さんが今までお読みになった本で、良かったと思われるものも並べる。また本屋さんに行って、子供が望んだ本を買う、などです。
20巻、30巻の本が並んでいたとして、子供がそれを全部読む、ということはあり得ません。全部読まないとしても、常に選べる状態にしていただくということが重要なのです。
もし子供が「本を読みたいな」という気分になった時に、すぐに手の届くところに本がある環境にする必要があります。「読みたいな」と思ったとき、では今から本屋さんに行きましょうか、図書館に行きましょうか、などと考えていると、そう言っているうちに気持ちが冷めてしまいます。身の回りには、本以外にさまざまな楽しい誘惑があります。図書館に行こうかと考えているうちに、他の誘惑に負けてしまうでしょう。「読みたい」と思った時に、すぐに手の届くところに、選べるだけの種類の本があることが大切なのです。
本好きの子供(国語力の高い子)は、同じ本を何度も読みます。「うちの子は、同じ本を何度も読んでいるのですが、それで良いのでしょうか。他の本を読ませた方が良いのではないでしょうか」というお尋ねを受けることがよくあります。私は「同じ本を読むのは、とても良いことです。本人さんが読みたいと言う限り、同じ本を何度読ませていただいても結構ですし、それがとても重要なことです」と答えます。
本のレベルと読者のレベル(読書力・精神年齢)とは、必ずピタリと合っています。難しすぎる本は意味が分からないので読めないし、反対に易しすぎる本ではつまらなくて読む気が起こらないからです。同じ本を何度も読んでいるということは、その本と子供のレベルがピタリと合っているということで、子供にとってまだまだその本から得るものがある、ということに他なりません。
仕事に疲れたとき、私は子供向けの本を読んで頭の休憩をすることがあります。「
子供の時に読んでも面白い、大人になって読んでみても面白い、それどころかまた違う発見がある、という本、つまり幅広い層の読者を受け入れる懐の深い本を「名作」というのだと、私は考えています。名作は、だから、いつ読んでも、何度読んでも面白いのです。
子供さんが好んで読んでいる限り、その本から得ることがまだあるということです。ですから、何度でも読みたいだけ読ませてあげてください。そのためにも、借りるのではなく買って書棚に並べてあげるのが良いのです。
子供さんの心が成長して「このお話はもういいな」、その本から卒業して他の本を読みたいなと思ったとき、まさにその瞬間にその子の手の届くところに、その子の好みで選べるだけのたくさんの種類の本があることが、さらに続いて本を読ませるために、とても大切なことなのです。
本は「乱読」が良いのです。読みたい本を読むということは、それは好きな本でなければなりません。すると、どうしても本の種類に偏りができて「乱読」になりがちです。本好きな人の多くは「乱読」です。しかしそれで良いのです。偏った種類の本ばかり読んでいたとしても、それでも十分「文章を読む」という、スポーツなら「ランニング」に相当する基礎体力訓練にはなっているからです。
同じ傾向の本を何冊も何十冊も読んでいれば、いつかは飽きがきます。「ちょっとこの手の本は飽きてきたなあ」と感じた時に、書棚にたくさん並んでいる本の中から、「これはつまらなそうだと思っていたけれども、ちょっとページをめくってみようかなあ」と、違う分野の本に手を出してくれれば、しめたものです。20、30冊の本のうち、結果として数冊しか読まなかったとしても、それで十分、お家の書棚に並べていただいた値打ちはあったというものです。
本は財産です。ぜひ、書棚にどっさりと本を並べてあげてください。
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April 04, 2020 at 02:00PM
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本好きでない子供を本好きにするにはどうするか…水島醉<7> - 読売新聞
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