「十代だった頃に出会った本の多くは、身近な図書館という場所があったからこそ読めたものばかりだし、今新刊を購入したいと思う気持ちの原点となる『本が好き』という思いも、そこで育ててもらった」
直木賞作家の辻村深月さんは、「図書室で暮らしたい」というエッセー集の中で、図書館への熱い思いを、こう書いている。
辻村さんは、子どものころから大の読書好き。今も見知らぬ町を訪ねると、わざわざ地元の図書館に立ち寄るそうだ。
その図書館の多くが、新型コロナウイルスの感染防止のため、長期間閉鎖されている。
ただ、閲覧室の椅子を減らして利用者同士の距離を取ったり、書棚を一方通行にして接触しないようルール化し、なんとか開館を維持しているところもある。
多摩地区のある図書館は、予約本の貸し出しが受けられる。これとは別に、消毒した本を三冊ずつ入れた「福袋」を置いている。
大人用と子供用が計二十セットほど。袋にはテーマだけが書いてあり、「家で開けてみて」と呼びかけている。「閉めれば安心」という内向きの発想からは生まれない工夫だ。
そもそも図書館は、いわゆる「密閉」「密集」「密接」の三条件にぴったり該当するのだろうか。休校中の子供たちがネットやゲーム漬けにならないためにも、図書館に携わる人の創意に期待したい。 (五味洋治)
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April 08, 2020 at 06:08AM
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本の「福袋」をどうぞ:私説・論説室から(TOKYO Web) - 東京新聞
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