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世界の航空各社は新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受け、生き残りに向けた改革を迫られている。当面の感染拡大が収束したとしても、今回の新型コロナ禍を教訓に、運賃値上げや路線廃止などの動きが相次ぐ一方で、搭乗前検査が厳格化するなど、空の旅の利便性や快適性は大きく損なわれるとみられている。
再編で競争度は低下
新型コロナの感染拡大の影響を受けた航空各社による事業計画の見直しが相次ぐ中、業界では地殻変動が進んでいる。ロックダウン(都市封鎖)など移動制限の緩和後には、空の旅のあらゆる場面で長期にわたる改革が待ち受けている。
米デルタ航空のバスティアン最高経営責任者(CEO)は「新型コロナの感染拡大収束後も航空市場回復の歩みは遅く、険しいものになると覚悟しなければならない。回復には2~3年を要する」との見通しを示した。
乗客がいつ安心して旅行を楽しめるようになるのかは誰にも分からないが、国際航空運送協会(IATA)の最近の調査によると、回答者の4割が「ウイルス封じ込めから少なくとも6カ月は航空便の利用を控える」と回答し、収束後の需要回復は鈍いとみられている。
スイスの金融大手UBSはビデオ会議が急速に普及したことで空の旅の必要性が薄れていると指摘する。同社の欧州株調査部門責任者、セリーヌ・フォルナーロ氏は「環境保護主義者でなくても、人々は『自分にとって最も必要な移動とは何か』という根本に立ち返ることを余儀なくされるだろう」と話す。
同氏は欧州や中国で航空機から高速鉄道へのシフトがさらに加速するとも予測している。これに伴い、一部の低価格の短距離路線は廃止される可能性が高い。
こうした動きが広がれば、二酸化炭素(CO2)排出量の多い飛行機から鉄道へのシフトを呼び掛ける「フライング・シェイム運動」の高まりで打撃を受けていた欧州の短距離路線には追い打ちとなりそうだ。
UBSのリポートによると、昨年の欧州の航空市場では300マイル(約482キロメートル)未満の短距離路線が全体の5分の1を占めている。
運航停止の長期化で各社の経営環境が悪化する中、業界の再編や淘汰(とうた)が進む見通しだ。豪航空2位のヴァージン・オーストラリアなど一部企業は既に破綻に追い込まれているが、シンガポール工科大学の航空輸送管理の講師であるウォロディミル・ビロカッチ氏は「破綻はさらに連鎖する可能性があり、結果として航空会社の数が減って競争の度合いは低くなる」と指摘する。
同氏によると、大手の格安航空(LCC)はナショナル・フラッグキャリア(一国を代表する国際的な航空会社)とともに生き残る可能性が高いが、その多くは株式の一部を政府によって保有されるか、少なくとも何らかの借り入れを行う見通しだ。こうした航空会社は利用者数の少ない路線を廃止するほか、運賃値上げに動く可能性が高いという。同氏は「運賃は新型コロナ危機前の水準に戻るか、少し高くなるかもしれない。利用可能な路線は確実に減少する」と指摘した。
サービス有料化進む
航空各社がさまざまな収益改善策を模索する中、乗客はさらなる出費を強いられそうだ。
ビロカッチ氏は、収益化の手段の一つとして今まで運賃に組み込んでいた「預け入れ荷物」や「機内食」といった無料サービスの有料化の動きが拡大すると指摘する。
既に欧米の航空会社では一般的だが、サービスを包括した運賃の仕組みを守ってきたアジア地域の航空会社でも普及するとみている。
これに加え、収益面での寄与度が高いファーストやビジネスクラス客などの囲い込みの動きも広がる可能性がある。ビロカッチ氏によると、一部の航空会社は運航停止中の航空機の上級クラスの改装を検討しており、エコノミークラス利用客との待遇格差はさらに開く見込みだ。
既に各社は乗客が安心して搭乗できるように機内や空港での感染予防策を強化している。英LCC大手のイージージェットは中央の座席を空席にするなどの対策を検討するほか、大韓航空では、客室乗務員がゴーグル、マスク、手袋に加え、防護服を着用するなどして感染防止に努めている。
移動制限の解除後は、特に海外からの渡航者に対する健康検査が厳格化される見通しだ。米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によると、2001年9月の米中枢同時テロ後に保安検査が強化されたのと同様に、乗客は体温測定を義務付けられるほか、健康診断書の提出を求められる可能性がある。
しかし、一連の検査は時間がかかるプロセスとなり、運航計画にも影響を及ぼすとの懸念もある。BCGの欧州・中東・北アフリカ地域の旅行観光業の責任者であるディルク・マールテン・モレナール氏は同措置について「迅速かつ安全に実施する必要があり、乗客の負担は軽減すべきだ」と指摘している。(ブルームバーグ Angus Whitley)
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May 06, 2020 at 08:13AM
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