自分の好みに合った本を探すためにはどうすればよいか。『サライ』書評担当者が明かす、「良書を見つける秘訣」とは。 ※この記事は『サライ』本誌2020年8月号より転載しました。
【よい本を識る秘訣 5か条】
一、新聞広告を吟味する。 一、新聞や雑誌の書評欄は読み比べる。 一、好みの出版社から図書目録を入手する。 一、若手研究者、在野の専門家の本に注目する。 一、旅先では「郷土本」コーナーに立ち寄る。 1年間に出版される書籍は、じつに7万点。この茫洋ともいえる情報の海から好みの本を探し出すには、いくつかのコツがいる。 情報収集の中心的な場となるのが新聞だ。大体の新聞は、1面の下段は書籍だけを扱うサンヤツ (三段八つ割り)と呼ばれる広告欄になっている。書影を使わず活字だけで構成された小さなスペース。題名と版元入魂の短い紹介文から内容を類推するのも、本選びの大きな楽しみである。わずか数文字の言葉に強く惹かれるものを感じたら、それはおそらく買っても損はない本だ。 新聞社にはそれぞれ編集方針があり、読者の多くはその考えを支持している。出版社が書籍広告を打つ時、今回の新刊はどの新聞の読者と最も相性がよいかを考える。その意味で、購読紙は元々が読みたい本に出会える確率の高い場だが、情報源が一紙だけだとほかの魅力的な本を見逃す。 そこでお薦めしたいのが、図書館の利用だ。購読紙以外の新聞のサンヤツも見ると、価値観は違っても視点が新たに開かれるような本の存在を教えられる。 新聞には毎週書評欄(新刊紹介欄)が設けられている。ここに取り上げられる本も、ある程度は編集方針が投影されるので読み比べをしたい。書評委員の選出基準もさまざまなので、同じ本を紹介していても視点や筆致は異なる。これは雑誌の書評欄も同じだ。
波長の合う出版社を見つける
とはいえ、新聞だけでは情報を的確に拾いにくい。併せて利用したいのが、出版社の新刊案内や図書目録だ。出版社にも特徴がある。自分の好きな傾向の本は同じ出版社から出ていることが多いもの。こうした印刷物は書店に置かれていることもあるし、問い合わせればたいてい送ってもらえる。発行年は古くても、とても魅力的な本の存在を知った時などは出会いの喜びも格別だ。 専門分野では著者にも注目したい。例えば最近の科学系の本の場合は、若手研究者の本が抜群に面白い。大御所になると裃を脱ぎにくいようで文体も論文調だが、若く頭角を現してきた今の専門家は、わかりやすく、かつ面白く書くことを意識していてすんなり頭に入る。歴史書などでは、論文こそ書いていないものの、強い好奇心でワンテーマを追い続けた在野の研究家の作品に光るものが多い。 地方発の本にも良書がたくさんある。地方の書店にはたいてい郷土本の棚が設けられているので、旅先で書店を見かけたら立ち寄ってみたい。主要な駅や空港内の本売り場にも同様のコーナーがある。
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July 12, 2020 at 09:03AM
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『サライ』書評担当者が教える「“よい本”に出会う10のコツ」(サライ.jp) - Yahoo!ニュース
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