「ドローン空撮の基礎」について解説するこの記事シリーズ。4回目の本記事内容もまた、空撮初心者にとって参考になるような事例をご紹介します。
このシリーズでは「いろはにほへと」「ちりぬるを」「わかよたれそ」に沿って注意点をご紹介してきました。4回目の本記事は「つねならむ」に沿って解説をしていきます。
つ・つらい!撮影中の蚊!
夏の撮影でケアしたいことの1つに蚊の襲来があります。蚊は、山でも海でも割とどこにでも出没します。蚊のような虫が近くを飛び回ると、撮影に集中しづらくなるので注意が必要です。
事前にしっかりとスキンガードなどの虫よけスプレーを丹念に吹きかけておきましょう。肌の見えているところももちろんですが靴下の上からや長袖の上からでも吹きかけます。肌の見えているところは吹きかけるだけでなく薬液をしっかり手で延ばし、かかっていないところがないように入念に塗ります。
蚊は薬液のついていないところを狙ってきますので、そうした箇所を可能な限りなくします。特に手の甲や指先の第2関節くらいの周辺などの手の周辺は操縦している時に止まられた際に対応できないので、できるだけ薬液を塗りたくります。
虫と言えば、野外の野山や、森林、田畑の上の空撮などで必ず遭遇するわけですが、空撮直後にはしっかりと機体のチェックを行ってください。プロペラに細かい虫の死骸や体液が付着していることも多いので、プロペラを取り外し1つ1つウェットティッシュなどで汚れを取るようにしましょう。これらの汚れだけでもプロペラや機体の劣化は進みます。
さらに機体のメンテナンスということで言えば、海で空撮した際には必ず機体をウェットティッシュなどで吹いて、潮風を受けて付着した細かい塩分を拭き取るようにしましょう。さすがに機体内部に入り込んだものの掃除はできませんが、外面だけでも劣化を防ぐために、拭き取り作業をこまめにやるようにしましょう。
ね・粘り強く待つ
空撮の中でも夕陽の撮影ほど思うようにいかないことが多い空撮はありません。夕陽のイメージは人によって様々だと思いますが、やはり「水平線に沈む真っ赤な夕陽」のようなイメージは想像しやすいのではないでしょうか。ところが、意外にもこのイメージの夕陽を撮影しようとすると、なかなかそのような絶好な場面に出会わないのですから困ったものです。
夕陽の町として有名な西伊豆町などではそのような絶景が比較的高い確率で見ることができます。それでも想像したような美しい夕陽がいつも見えるかと言うと、そう簡単ではありません。
どの海岸、どの港から見るかでもその見え方は変わるのですが、往々にしてあるのが水平線に夕陽が近づくにつれ、海と空の境に霞がかってしまい、綺麗な夕陽の形が崩れてしまうことです。せっかく日の入り直前まで待ってもそのように霞にかかってしまうのはかなりショックではあります。
しかし、そこであきらめてはいけません。夕陽が水平線に沈むシーンは撮れなくても実はその後にさらに美しいシーンが待っています。
オススメの瞬間、それはマジックアワーの時間帯です。日の入り後だいたい15分とか20分程度経つ頃でしょうか。それまでオレンジ色に近かった夕陽の色がだんだんと赤みを増し、ピンク色にも似た赤色に変色します。空の青さも太陽から離れたところは濃紺になり、その紺とピンクの合間に紫色の空間も作られたりします。この色の変遷はみるみるうちに変わっていき一瞬たりとも見逃すことができなくなります。
そして、その美しい時間は30分も経つ頃にはすっかり濃紺の色に侵食され、美しい色彩ショーに終わりを告げることになります。この一連の空の変化を撮影できると水平線に沈む夕日が撮れなくてもかなり満足度の高い時間になるでしょう。
夕陽が沈んでも、粘り強く待ってみると、美しさがひと際際立つ時間を経験できるかもしれません。(日没後の撮影になるため、夜間飛行の許可を得ていることが必須になります。)
な・夏の暑さは大敵
今のような夏真っ盛りの時期には、直射日光対策や気温そのものの対策などが必要になります。
特に、送信機のモニターとして使用するタブレットやスマートフォンも周囲の気温の上昇に伴い熱を持ちやすくなります。ある一定の温度以上になると受信映像がガタガタとコマ落ちしたようになり緑色のラインが出始め、そして黒く固まってしまいます。(俗に言うブラックアウトですね。)
夏のドローン空撮はバッテリー対策、タブレット対策、パイロット対策が必須になります。多くの人が様々な対策を実施していると思いますが筆者の場合の工夫は以下のようなものを対策としています。
タブレット対策
タブレットの裏に「冷えピタ」などの熱冷ましシートを貼り付け、気化熱効果で温度を下げる
これは出費も少なく、比較的手ごろな方法なので良く活用します。直射日光を受けるような過酷な現場では、気化熱程度では症状を抑えられないこともあります。
車の室内温度をエアコンで冷やしてその車内にタブレットを放置する
フライト地点と車の駐車位置が比較的近い場合は、車の車内を冷やすことでタブレットやバッテリーの冷却環境を作ります。
クーラーボックスに保冷材やかちわり氷を詰め込み熱くなったタブレットにタオルを巻いて入れる
小型の冷蔵庫が欲しいところですが、電源の確保含めそこまでの投資がまだできないので、クーラーボックスで代用しています。急激に冷やすことができるのですが、あまりやりすぎると結露などの水分のせいでタブレット自体を損傷してしまうかもしれないので、水分には十分注意して冷やします。
タブレットなどの熱対策ももちろんですがパイロット自身の熱対策も必要です。
パイロット対策
帽子をかぶる、アイスノンなどで直接身体を冷やす、適度に水分を補給するといった熱対策をこまめに実施し熱射病や熱中症にならないようにします。
汗をかくと涼しく感じる冷感タオルや冷感シャツ、扇風機付きのジャケットなど、熱対策の衣服も充実してきましたのでそのようなグッズも活用しましょう。
ら・落雷に注意!
夏の発雷確率が高くなる時期、もしドローンで空撮しているうちにみるみるうちに雨雲が広がり、雷が迫ってくるようであれば、速やかに機体を戻して着陸させましょう。ドローンはかなり高いところを飛行しているので、周囲の高い建物や樹木などより高く飛んでいれば、落雷する確率は高くなります。
ドローンに雷が落ちるとどうなるか?2017年にイギリスのマンチェスター大学でそのような実験が行われました。2回行われたこの実験では、雷に打たれた場合にドローンを無傷で戻すことは不可能という結果になりました。モーター部分から下に抜けた電流は内部の基盤をすべて焼いてしまい、回収後も起動できなくなるくらいに損傷しました。
ドローンに雷が落ちることはパイロットにとっても危険な状態です。特に雷雨時のドローンの着陸には十分に注意してください。なるべく急いで着陸させ、機体を回収し、自身も含めて安全な場所(建物や車の中など)に避難するようにしてください。
着陸時のドローンの機体はパイロットの近い位置にいると思いますが、そのような時にドローンに落雷した場合、その側撃(落雷を受けた物体から、電流が別の物体へ飛び移る現象)を受ける可能性があります。ドローンに落ちる場合にはドローン自体は空中にいるため、地面を伝って電流を受ける(歩幅電圧障害)ことは確率的に低いと思いますが、ドローンの側撃を受ける可能性は十分にあります。側撃を受ける距離は概ね4m以内とのことなので、ドローンを着陸させる場合、4m以上離れた場所に着陸させるようにしましょう。
いずれにしても天気予報などを考慮し、落雷のありそうな天候の場合は飛行させないことが肝要です。
む・無理そうなら飛行させない
飛行できる条件とはいろいろあります。まずは国土交通省の推奨する飛行マニュアルに準じていること、風速が地上5m/s以下であること、第三者による飛行空域直下への侵入がないこと、などなど。しかし、このようないわゆる定められたルールや常識として知られていること以外でも、「飛行させない」とする場面は多くあります。しかもそれは、数値や事象では明確に表現できないような条件です。
まずはパイロット自身の「力量」です。パイロットは経験も練習量も様々ですので、パイロットによって「やれること」「やれないこと」という基準はそのパイロット自身にあります。その物差しはパイロット自身の感じ方・考え方に依存します。自分自身が「これはできる」「これはできない」の物差しをしっかりと持ち見極めるようにしてください。
例えば高速で走る車を追うとか、しぶきを上げて落ちる滝の滝つぼに近づくなどを、経験値の高いドローンパイロットは楽々とやってのけるかもしれません。もし十分に経験を積み、こうすれば安全に空撮できるという勝算があるのなら、実行しても良いかと思います。しかし、その勝算を自分自身が持てないのであれば、その場は潔く諦めて次の機会を待ちましょう。
今できないこと、できなかったことが、次の経験に活きてくると思います。自分と他人の安全のためにも、決して無理をしない。無理そうなら飛行させない。これはドローン空撮をするうえで鉄則だと思います。
編集後記
今回も、空撮初心者にお伝えしたいちょっとしたTipsを列挙してみました。今は不要な知識もありますが、そのうちその場面に遭遇すると「あ、これがそうか!」と気づくことがあるかと思います。そんな時にも慌てずに本記事の内容を思い出してもらえると、より実感できますし今後の糧となることでしょう。
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August 16, 2020 at 05:04AM
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