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「運命の一冊」に出会う法 『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』 | J-CAST BOOKウォッチ - BOOKウォッチ

 いま凄い書評家として名前が挙がるのは松岡正剛さんだろう。「松岡正剛の千夜千冊」という書評サイトが有名だ。少し前には、山村修さんが「狐」のペンネームで「日刊ゲンダイ」に22年間連載した書評が光彩を放っていた。亡くなる直前の2006年に『〈狐〉が選んだ入門書』(ちくま新書)で名前を公表。死後の2007年に『書評家〈狐〉の読書遺産』(文春新書)として刊行された。

 本書『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』(技術評論社)は、古今東西のスゴ本(すごい本)を探しまくり、読みまくる書評ブログ「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」を運営する書評ブロガーのDainさんの初の著書だ。読書法から書評の書き方、お勧め本まで、非常にカロリーの高い本だ。本好きにはお勧めの一冊。

本を探すな、人を探せ

 構成と気になる小見出しを抜き出すと以下の通り。

 第1章 本を探すな、人を探せ   ・運命の一冊を読んだ人を探す   ・アウトプットすると人が見つかる  第2章 運命の一冊は、図書館にある   ・本屋は出会い系、図書館は見合い系   ・図書館を使い倒す  第3章 スゴ本を読むために   ・『本を読む本』で『本を読む本』を読む   ・本を読まずに文学する「遠読」   ・だれかの読み方をマネする  第4章 書き方から学ぶ   ・人を説得するために、いかに書けばいいか   ・事実と意見は分けて書け  第5章 よい本は、人生をよくする   ・人生を破壊する「怒り」から自由になる   ・生きるとは食べること   ・二〇年前の自分に読ませたい珠玉の一二冊

アウトプットの勧め

 「なぜ書評を続けられるのか?」という質問に対し、「書評をアウトプットすると、わたしが知らないスゴ本を読んでいる人が見つかるから」と答えている。

 かつてDainさんは、「独善的な俺様読書家」だった、と振り返る。本にかんするさまざまな個人ブログを見ると、そこにたくさんの「わたし」がいた、とも。

 ・独善的に「これを読め」と断定するくせに、小学生並みの感想しか書いていない人  ・「古い本には価値がない」と断言し、「新刊しか読まない」と宣言する人  ・ジャンルに特化した読書家

 狭い井戸の中にこもった王様、女王様で、鼻もちならない「わたし」がいた、と反省する。そこで、自分の壁を壊すために「試行錯誤でたどりついたのが、アウトプット」だ。

書評が生んだロング&ベストセラー

 本の要約よりも、「それを読んで自分がどう動いたか」という具体的な感動・行動に焦点を当てて本を紹介した。愛情たっぷりの書評は、ときにAmazonの紙価(古本取引価格)をべらぼうに高めたことがある。

 本書の第5章で「最高峰の小説で、濃厚かつ強烈な体験を味わう」として推薦している『カラマーゾフの兄弟』は、東大教師が新入生に薦める本のアンケートを過去15年3000冊調べ、そのナンバー1であると、新潮文庫の帯に書いたところ、累計170万部のロング&ベストセラーになるきっかけにもなった。

図書館の勧め

 「本屋は出会い系、図書館は見合い系」と図書館の利用を勧めているのも、評者の実感に合う。BOOKウォッチでは、出版社からの献本、書店で買い求めた新刊のほかに、図書館から借りた本を検討して取り上げている。中でも重要なのが図書館の本だ。メディアの性格上、比較的近年の本にしているが、刊行時に見落としているものがいかに多いかを痛感している。

 BOOKウォッチは「その本に何が書いてあるか」という要約が中心なので、まさにDainさんのブログとは対照的なスタンスにある。だが、「運命の一冊」にはならないにしろ、「役に立つ一冊」に、とは願っている。

 巻末には特別付録「禁断の劇薬小説」を47ページにわたって収めている。『告白』(町田康、中央公論新社)から『消された一家――北九州・連続監禁殺人事件』(豊田正義、新潮社)まで24冊。「読書は毒書だ。読前・読後で変わらないなら、読む意味がない」と書いている。

 「スゴ本オフ」という読書会も主催している。リモートでも参加できるというから検索してみたらいかがだろう。

 BOOKウォッチでは、日本最大の読書会「猫町倶楽部」についての『読書会入門――人が本で交わる場所 』(幻冬舎新書)、ベストセラーとなった『嫌われる勇気』の著者、岸見一郎さんの『本をどう読むか』(ポプラ新書)などを紹介済みだ。

  



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August 25, 2020 at 05:16AM
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