編集者、古本コレクター、書店主、画家、文筆家。5人の本好きが「本のリスト」についてつづったエッセー集だ。本そのものではなく、リストについて語るのというのがミソ。もちろんどんな本たちかも説明されているけれど、主役はあくまでもリストだ。誰がなぜそう並べたのか、その背景や選書の理由などが焦点となる。各リストが反映しているセンスや価値観を、著者がどう読み取り、いかに描くのかが読みどころ。
たとえば、ある日の名曲喫茶に積まれていたという本のリスト。ビートルズの評伝や名曲解説など、いかにもありそうな本のほかに、ジッド、ボルヘス、サルトル、三島由紀夫、あるいは萩尾望都の漫画版『ウは宇宙船のウ』や、石牟礼道子と藤原新也の対話集『なみだふるはな』もあったりする。客が勝手に置いていくらしいのだが〈どんな書店員が選んだ本よりも間違いない「クラシック音楽を聴きながら読むのが似合う一冊」かもしれない〉。確かに。
マンガの中の本棚に描かれた本、獄中で読む本、タイトルで読みたくなる本、戦没学生たちの手記に残された本…登場するリストは千差万別。
役立ちそうなものも多く、とくに5章「薦められた本たち」に並んだ児童図書など、もう片っ端から全部読みたくなるほど魅力的だが、随想として面白いのはむしろ非実用的なリストの話だったりする。焚書や異端審問、戦争などで失われてしまった本のリストや、「あったら面白いのに」と作られた架空図書目録まで紹介される。
無数にある本から、何を選んでどんなふうに並べるかというのは、世の中をどう眺めて、どんな生き方を選ぶかということと似ている気がする。出会いが偶然に左右されるところも、どこか人生っぽいような。
巻頭に、著者5人が〈自己紹介の代わりに〉と載せているのが「私を作った十冊の本たち」というリスト。マンガ、図鑑、専門書、SF…その文章を読んでから眺めると、ほんとに自己紹介に見えてくる。好きな本が入っていると、なんだか仲良くなれそうな気もしたり。
読み終えたらきっと、自分でも本のリストを作ってみたくなるはずだ。(南陀楼綾繁、書物蔵、鈴木潤、林哲夫、正木香子著/創元社・2300円+税)
評・阿蘇望(ライター)
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September 27, 2020 at 08:30AM
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