いまだ敗北を認めないトランプ大統領の首に、誰も鈴をつけられない。メラニア夫人や側近である娘婿のクシュナー首席秘書官らが敗北宣言するよう説得していると報じられているが、本人はまだまだ戦闘モードである。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、この状況はなかなか打開されないと予測する。
【写真】記者会見でも、すでにバイデン氏よりハリス氏のほうが主役!?
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アメリカのコロナ禍は完全に第2波に突入している。連日のように過去最多の感染者を出し、南部のテキサス州などは危機的な状況である。トランプ大統領は、自分に投票した支持者たちが次々と感染していても、沈黙を守るだけ。Twitterでも演説でも、口をついて出るのは「選挙は盗まれた」「民主党が不正をした」という壊れたレコードのような繰り言ばかりなのである。
いったいアメリカは本当に民主主義国家なのだろうか。国務省の外交官たちは、自分たちの任地である途上国で民主主義と公正な選挙を根付かせようと奮闘している。そうした国では、「お前の国こそどうなんだ」と笑われて仕事にならないと伝えられる。そして、選挙結果にかかわらず、いま大統領であるトランプ氏は、コロナ問題に背を向けることは許されないはずなのに何もしない。いったいアメリカに大統領はいるのだろうか。
トランプ氏の言動には、共和党内からも異論が出ている。2つの州の共和党知事は、トランプ政権が政権移行を妨害していることを批判した。しかし、共和党全体でみると、7100万票を獲得したトランプ氏の法的根拠のない見えざる力に縛られ、建設的な議論も、まともな政策論も展開できずにいる。政権内で黒幕のような存在になっているポンペイオ国務長官は公然と「トランプ政権は2期目に入る」と宣言し、むしろトランプ氏の暴挙を後押ししようとしている。閣僚の暴走さえ、共和党はもはや止める力がない。
慣例に従えば、大統領選挙で勝利したバイデン氏は、「President Elect」と呼ばれることになっている。しかし、バイデン氏をそう呼ぶ共和党議員はほぼ皆無だ。選挙結果がひっくり返ると信じる者はほとんどいないはずなのに、トランプ氏の強大な力を恐れて口をつぐんでいるのである。たとえ選挙結果が確定しても、トランプ氏は「この選挙は不正だ。大統領の職を盗まれた」と言い続けるだろう。トランプ氏の周辺を取材し続けている若いフリージャーナリストは、「トランプ氏はすでに2024年の大統領選挙で返り咲くシナリオを練り始めた。誰も自分に逆らえない共和党を見て、4年間騒ぎ続ければ再びホワイトハウスに戻れると感じているようだ」と言う。
4年後にはトランプ氏は78歳である。今回のバイデン氏より高齢だ。すでにNEWSポストセブンでリポートしたが、トランプ氏は大統領職を去ると、自分のビジネスで巨額の借入金の返済を迫られ、セクハラなどの不祥事を含めて1000件を超えるという訴訟にも追われる。そうした難題を一気に解決するには、再び大統領として君臨するしかないということなのだろう。かつて、ブッシュ大統領(子)の側近として選挙を取り仕切ったカール・ローブ氏は、「すでに結果の出た大統領選挙を覆すことも、やり直すことも不可能だ」と苦言を呈している。だからこそ、4年後の戦略を練り始めているのだ。
大統領選挙に密着しているジャーナリストのマイケルは、「2024年の選挙でトランプ氏が出てくる、あるいは勝てるかどうかは、民主党の左傾化がどこまで進むかにかかってくるだろう。バイデン政権がサンダース氏やウォーレン氏のような左派を抱き込んで社会主義的な政策を進めれば、アメリカの分断や階級闘争はますます激化する。そうなればトランプ氏への待望論が出てくることも考えられる」と分析した。
4年後にはバイデン氏に代わって大統領を目指すとも噂されているカマラ・ハリス「次期副大統領」も社会主義の信奉者だ。これは筆者の予測でしかないが、バイデン政権は社会主義的政策を進めざるを得なくなり、それはアメリカを衰退させる。今回、民主党左派を支えた若者たちも、4年後には「こんなはずではなかった」と感じているのではないか。だとすれば、本当に「Make Trump President Again(トランプを再び大統領に)」といううねりが起きるかもしれない。
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