危険冒し世界に教えたこと
ミステリー作家、誉田哲也の新作『背中の蜘蛛(くも)』(双葉社)を読んで驚愕(きょうがく)した。この小説に出てくる警察の特別捜査班は現場を歩いたりせず、一日中、何台か並んだコンピューターの画面を見ているだけだ。そこでは「スパイダー」というソフトがありとあらゆる電話、メール、ネットの取引、ATM(現金自動預払機)での引き出し、防犯カメラの映像などを監視して、犯罪につながる異常を感知し、報告してくれる。それを基に難事件の犯人を割りだしていくのだ。しかし、これは法律違反のいわば盗聴である。
そのような個人情報監視システムがすでに完成・作動していることを教えてくれたのが本書の著者、スノーデンだ。
スノーデンは日本製のアニメとゲームが大好きなので、喜々として日本での仕事にやってきた。その仕事とは、NSA(米国家安全保障局)の横田基地(東京都福生市など)にある支局での通信傍受、つまり情報スパイ活動である。そこで彼は、中国が何十億もの国民の個人通信情報をほぼ完全に監視・把握している事実を知り、愕然(がくぜん)とする。しかし、同じことを米政府も、国民に対して、合衆国憲法に違反しておこなっていたのだ。
スノーデンが自分の立場と生命の危険さえ冒して世界に教えたのは、その犯罪行為だった。それは単なる情報漏洩(ろうえい)ではなく、国家のおこなっている犯罪の告発だったのだ。
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January 11, 2020 at 09:30AM
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【本ナビ+1】『スノーデン 独白 消せない記録』 学習院大教授・中条省平 - 産経ニュース
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