2020年3月4日 午前7時20分
【越山若水】本を読むだけだった人が表現者に、新しい読み手が感化され次の表現者を生み出す。そんな循環を生み出す「出版できる本屋」にしたいと抱負を語った▼本屋店主兼編集者という二足のわらじをこなす佐藤実紀代さん。「福井で本をつくるということ」と題する講演を行った。幼いころから本好きだった上に本にかかわる仕事をしてきた経験を生かし2年前に福井市で開業。類は類を呼ぶというか「本にしたい」との相談が寄せられ来店者も集いサロン化しているとか▼自らも小浜市の若狭塗箸職人の生きざまと箸を詰め込んだ「はしはうたう」を出版。本の装丁、デザイン、紙質にこだわり抜いた一冊に仕上がったようだ▼一方、文芸書や文庫本の担当で、腕利きといってもいい書店員が福井市にいる。樋口麻衣さん。本屋大賞で推薦した折原一(いち)さんの「異人たちの館」(文春文庫)が「超発掘本!」に選ばれPOP広告「この本を読んで欲しくて書店員になりました」も文庫の帯に採用された。今年の候補作では凪良(なぎら)ゆうさんの「流浪の月」(東京創元社)を推薦しているという▼直木賞作家の売れっ子、池井戸潤さんが樋口さんのPOPの表現力と平積みの本の並べ方に感心し、2日続けて売り場に足を運んだ。読書離れといわれ久しいが2人の無類の情熱、こだわりが本好きを再び本屋の売り場に引きつけ楽しませている。
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March 04, 2020 at 05:20AM
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