夏はタイヤのパンクやバーストが増える季節だが、めったに起こらないことなので、あまり知識のない人がいるだろう。しかし、パンクをして問題となるのが、お財布を直撃するタイヤの買い替え費用だ。
以前は、4WD車はタイヤがある程度減っている状態でパンクをしたら、外径差でデフに負担がかかるので4本すべて交換する必要がある……と言われていた。
しかし、たった1本のために4本交換が必要なのか? と思う人も多いだろう。本当に必要な場合、その理由と大体の残りの山の目安はあるのか? 今回は不意のパンクでタイヤ交換する際に気を付けたいポイントを解説していきたい。
文/斎藤聡
写真/Adobe Stock(ymgerman@Adobe Stock)、BRIDGESTONE、編集部
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■ちょっと難しいけど知っておきたい タイヤに起こる回転差
4WD車のパンクとタイヤ交換は、いろんな意味で難しい問題をはらんでいます。机上の話であれば即「4輪交換してください」で話は終了。3行もあれば事足りてしまいますが、どんな場合でも4本交換しなくてはいけないのか? という質問の背景には、タイヤ代金4本分、かなり高価な料金を支払わなくてはいけないというお財布を直撃する問題があるからです。
冒頭に「机上の」と書きましたが、理屈を言えば、4WDは4輪が同じ回転数で回るように作られています。駆動トルクは不均等のものが少なくありませんが、それはタイヤが蹴り出す力の話であって、回転数ではありません。なので、ここでは4輪を同じ回転数で回すものと考えて読み進めてください。
4輪のうち1輪がパンクして新しいタイヤになった場合、1輪だけがタイヤの回転数が少なくなります。
例を挙げます。185/60R14サイズ、タイヤ外径を特定するため、仮にブリヂストンの「エコピアNH100C」というコンパクトカー用のタイヤで考えてみます。
このタイヤのタイヤ外径は、新品時で578mmです。ちなみにタイヤの溝は新品で10mmほどあります。
外周長は578mm×π(パイ)≒1815.8mm。
※π(パイ):円周率
タイヤが5分山で5mm磨耗したとするとタイヤ外径は10mm小さくなるので
568mm×π(パイ)≒1784.4mm
となります。
つまり外周長は31.4mm=3.14cm短くなります。100m走った時のタイヤの回転数は新品が55回転。5分山だと56回転。100m走るごとにタイヤ1回転分の回転差が生じるわけです。
ちなみに時速100kmは秒速27.7mですから、タイヤの回転差は新品の15.25回転に対して5分山は15.52回転。1分間に換算すると新品918回転に対して、5分山934回転となり16回転差になります。
デファレンシャルギヤには左右輪の回転差を許容する働きがあります。左右のタイヤの回転差がない時にはデフケースごと回転しているのですが、左右に回転差が生じると左右のサイドギヤに挟まれたピニオンギヤが、回転差によって自転することで回転差を吸収してくれます。
1分間に16回転差程度なら、短時間なら大きな問題にはなりませんが、長時間の連続走行になるとどうでしょうか。あるいは、ほぼ全磨耗のタイヤに1本だけ新品でタイヤの回転差は倍の32回転になると……。
長時間連続運転していると、ピニオンギヤの自転によってデフオイルはより攪拌され、発熱してきます。デフオイルが新品の状態なら問題はないかもしれませんが、オイルの劣化、量の低下、デフ自体の磨耗など様々な要件が重なると、焼き付き、場合によっては発火といった可能性も出てします。
■回転差が原因で発生するデフへの負担
もう一点不安要素があります。それは最近のクルマではほぼ全車装備されているABSおよびESC(横滑り防止装置)です。タイヤが回転差を常にモニタリングしているので、回転差が大きくなると異常を検知してワーニングが出たり、カーブなどでさらに回転差が大きくなったときにABS、ESCの介入するといったケースも考えられます。
ではタイヤ4本の交換は厳しいけれど2本なら……。こんなケースはどうでしょう。この場合は左右のタイヤをつなぐデフに起こっていたことが、センターデフやトランスファー(仮にセンターデフ部といいます)に起こります。
前輪2輪、あるいは後輪2輪が新品になった場合、回転差はセンターデフ部の負担となります。前後デフのようセンターデフがついている場合は、回転差を吸収してくれますが、これにLSD(差動制限装置)がついているとクラッチやギヤ、カップリングの発熱につながる恐れがあります。
トランスファーの場合は、パートタイム4WDは即座にブレーキング現象を起こしクルマが走りにくくなります。最近の4WDの多くは多板クラッチを使ったカップリング機構で後輪あるいは前輪を駆動しているタイプが多くなってきました。こうしたタイプの4WDの場合は、カップリングのクラッチがいつも半クラ(半クラッチ)状態になっているイメージです。
じつは、ここまで机上の話を引っ張ってしまったわけですが、理屈の上ではこんな具合に機械になにがしかの負担がかかることがわかると思います。また制御系の誤作動の可能性もはらんでいることも。
もうひとつ、こちらは現実的な問題点として考えられるのが排水性やグリップ性能の問題です。特に前後どちらかのタイヤを新品に交換すると前後輪で排水性に差ができてしまいます。
ウエット路面を考えた時、後ろに新しいタイヤを着ければ曲がりにくくなり、前輪に新品タイヤを履けば、リヤタイヤが滑りやすくなります。グリップ性能自体も、タイヤの磨耗や劣化次第ですが、古いほうが滑りやすくなります。
■何本交換が必要なのか!? その答えは…
結論的にまとめると、摩耗がそれほど進んでいなければ、タイヤ1本交換でまず問題ないと考えられます。
摩耗が5分山程度まで進んでいたり、タイヤにひび割れができる程度に劣化していたら4本交換を強くお勧めします。
溝の深いSUVタイプは、溝が深いのでタイヤ外径差に注意してください。また、クロカン4WDのようなトランスファータイプのパートタイム4WDは、タイヤ外径に差のあるとデフにダイレクトに負担がかかるので、オンロード、特に高速道路での4WD走行は危険です。
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August 27, 2020 at 09:00AM
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