講義で使うテキストや難解で分厚い学術書を出す、といった「お堅いイメージ」がある各大学の出版部門が、一般読者の目をひきそうなユニークな本を相次ぎ刊行している。人気のテレビ番組を取り上げたり、売れっ子漫画家に表紙絵を描いてもらったり…。柔らかな“変化球”が目立つ背景には学術書出版を取り巻く環境の変化があるようだ。(海老沢類)
東京大学出版会が10月に出した「攻めてるテレ東、愛されるテレ東」はソフトカバーで、タイトルも個性的。学術書らしい堅苦しさがない。後発民放局のテレビ東京が冒険心と独特の「ゆるさ」を武器に支持を広げていく過程を社会学者が考察した1冊だ。
「読者を広げたい。東大出版会も“攻めてる”イメージを出せたら」と担当編集者の木村素明さん。通常の学術書と比べて倍以上の部数を刷り、価格も学術書では比較的安めの2400円(税別)に抑えた。
同出版会は8月刊の科学エッセー「モアイの白目(しろめ)」でも、表紙絵を「クルクルくりん」で知られる漫画家のとり・みきさんに依頼。木村さんは、「情報が増えて価値観も多様化した今、権威ある大学の先生の著書なら売れるというわけではない。学術的な質を確保しつつ、装丁も含めた工夫が常に必要」と話す。
大学出版部は全国に70ほどあるとされる。教員らの研究成果を盛り込んだ学術書や、学内向けの教科書などの出版が主な活動。大学の一部局として教科書にほぼ特化した小規模な所も多い。ただ、東大出版会のような財団法人や、株式会社といった独立した形態をとる組織もあり、「きちんと収益を上げなければ生き残れない点で一般の出版社と何ら変わらない」(東大出版会)。国が進める大学改革のもと、研究成果を広く一般社会に還元するように求める声が近年高まってきたことも、「柔らか本」が増えた一因といえる。
慶応義塾大学出版会も10月、人気テレビ番組のファンと制作側との交流を社会学的視点から分析する「5人目の旅人たち『水曜どうでしょう』と藩士コミュニティの研究」を刊行。東京電機大学出版局が7月に出した「世界を変えた60人の偉人たち」はピタゴラスからビル・ゲイツまで、社会を支える技術を生んだ偉人の功績や格言をイラスト入りで紹介する。
こうした中で、学術書として異例の1万5000部に達し、今年文庫化された大阪大学出版会の「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」のような成功例も出ている。
紙の書籍の販売額がピークの約6割にまで縮んだ出版不況下で、書店の数も減少が続く。
全国28の大学出版部(今年8月現在)が加盟する大学出版部協会(東京)の黒田拓也代表理事は、「店頭で本を売れる機会が減り、長く収益を支えてきた既刊のロングセラーが振るわないのが学術書や専門書出版社に共通する悩み。新刊でいかに個性を見せられるかが大事になってきた」と指摘している。
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December 28, 2019 at 03:36PM
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