私は普段新聞と雑誌の書評をよく読むが、本書を読んで改めて「ブログ書評」の質の違いを感じた。ブログ主である著者の嗜好(しこう)やチャレンジによって積み上がってきた書評群は、さまざまな方向性を持ちつつ一つの生命体のように密である。
価値観や人生にまで影響する本を「スゴ本」と称し、そんな「運命の一冊」は実は何冊もあると紹介していく。全体に重きを置いているのは「どのように本に出会うか」「出会った本をどのように読むか」という点だ。私も取材などでよく聞かれるので、需要のある項目だと思う。
第1章「本を探すな、人を探せ」…まだ出会っていない本は、それを先に読んでいる「人」から探すススメ。第2章「運命の一冊は、図書館にある」…この図書館徹底利用法は必見! 第4章「書き方から学ぶ」…書評を書くことでもう一段深く本を読み込む方法の解説は、他の書評本にはない本書の特徴だ。
どの章も本だけでなく、読書をする自分を含めて観察する「研究」の雰囲気が強く漂っている。
翻ってみると、私の読書は趣味と「役者業の栄養補給」を兼ねている。自分の中に多数の人間と、その分の知識を絶えずため続ける必要があるため、多冊雑食。自分の好みを超えて読み、どんな本も身になる、というのが「役者読書」の特徴だろうか。
読了後、本家ブログを古い方からたどってみた。ブログならではのサービス精神にあふれ、ちょっとしたお色気や時事ネタに笑える。それでいてちゃんと一次情報を掲載する(例…HIV感染者の厚生労働省グラフ引用)など、読む価値を高める工夫がある。コメント欄の読者交流の変移も面白い。15年以上続けてきた重みある1冊の完成度に、さらに納得した。
おしまいに一点だけ。
付録「禁断の劇薬小説+トラウマンガ」として、奥付後に刺激の強い作品が紹介されている。私は元々ホラーも好きで慣れているため、ここは既読本も多かった。しかし不慣れな人は、本編と異なる領域だと覚悟し、扉を開くこと。本の特徴を捉えて推す力が最後まで強いので、ご注意あれ。(技術評論社・2200円+税)
評・美村里江(女優、エッセイスト)
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July 12, 2020 at 09:05AM
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【書評】『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』Dain著 読書をする自分も観察 - 産経ニュース
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