新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、開館が延期になっていた「こども本の森 中之島」が、7月5日にオープンした。読書を通して、日本の未来を支えるこどもたちの豊かな感性を育む新たな文化施設は、中之島一帯に3000本の桜を植樹した「桜の会・平成の通り抜け」(2004-’10)をはじめ、建築を超えて大阪の街づくりに長くコミットしてきた安藤忠雄のモニュメンタルな作品といえる。
グローバリズムからローカリズムへの転換期に船出
大阪市の中心部を流れる堂島川と土佐堀川にはさまれた水辺にある中之島公園。その一帯は、かつて株式仲買人として成功した岩本栄之助が建設費を寄付し1918年に竣工した大阪市中央公会堂などが立ち並び、古くから大阪の文化的中心地として位置づけられてきた。 「こども本の森 中之島」はそんな岩本しかり、この街に生きた豪商たちの心意気で形成されてきた大阪を拠点に活躍する建築家の安藤忠雄が自ら発案し、建物ごと大阪府に寄付した文化施設。場所の個性を十二分に活かし、こどもが主役の施設であることを第一に考え、設計された。 堂島川に沿って弓なりに伸びる建物外観は、その東側が、エントランス・ポーチと連続する水際のテラスに。さらに3フロアからなる建物内部の壁一面はのびのびと生い茂る木々のような本棚となり、文字通り「本の森」さながら。そこに階段やブリッジ通路が立体迷路のように巡らされ、本の壁の隙間から堂島川の風景が目に飛び込んできたり、天井の丸窓から僅かに光が差し込む円筒状の空間に行き当たったり。その薄暗い井戸の底のような一角では、本の物語に出てくる言葉やシーンを動く紙芝居のように映し出すライゾマティクス デザインによる映像作品を見ることができる。 すなわち、あるときは階段に座って、またあるときは水際のテラスに出て、中之島公園のベンチや芝生の上に寝転んで……。建物を中心とする中之島全体もまた、こどもたちが本だけでなく場所をも自由に見つけて楽しむ「本の森」となっているのだ。 「スマートフォンやインターネットの普及によってコミュニケーションの形も変化し、今の社会ではなかなか豊かな人間関係を築くことができません。情報が氾濫するなか、物事を深く追求し、突き詰めて考えることも難しくなっています」「そんな時代だからこそ、こどもたちには読書の楽しさを知ってもらいたい。本を読むことを通して、感性を磨き、想像力を養い、生きていく力を身につけてほしいと思います」――「こども本の森 中之島」の趣旨に関して、安藤忠雄はそうメッセージを寄せた。 肝心の蔵書はブックディレクターでBACH代表の幅 允孝(はば よしたか)が12のテーマのもと配架。こどもが自然や人間に対する愛情を育み、世界中の絵本や児童書から日本の歴史文化や地域性を学べるものを揃えた。さらに「あの人の本棚」として特別なスペースも設けられ、「こども本の森 中之島」名誉館長である山中伸弥をはじめ、日本を代表する知識人たちに所縁のある本も定期的に紹介する。
なお、安藤忠雄は渦中の新型コロナウイルス対策でも、かねてから親交が深い大阪知事の吉村洋文が立ち上げた「コロナ助け合い基金」を支援する。 コロナという100年に一度ともいわれる災難がもたらしたグローバリズムからローカリズムへの一大転換期を待たず、いみじくも「大阪都構想」を示すことで先手を打っていた大阪に誕生した「こども本の森 中之島」。そこは大阪から世界へ、数々の名建築を通して未来への希望を果敢にカタチにしてきた安藤忠雄の一つの集大成である。 こども本の森 中之島 住所:大阪市北区中之島1-1-28 ※入館はサイトから事前予約制 Text=岡田有加
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July 12, 2020 at 06:06AM
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